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近親姦虐待の被害当事者たちがつながり・語り・学び合うためのセルフヘルプ・グループです。

ヒラケトビラコラム

学問のおすすめVol.8

このシリーズは、2011年夏頃から10回に渡って、とあるNPO法人の会報に寄稿した体験談を、再編して掲載しています。

***

『性虐待や性被害に遭った人から、そのことを打明けられたとき、あなたなら、どう感じるでしょう?驚き、戸惑い、混乱するのではないでしょうか?
被害者や支援者、また、加害者が、性暴力や性虐待に対する知識や情報を正しく持ち、理解できるようになれば、何かが変わると思いませんか?
とあるNPO法人のとあるプロジェクトの担当として活動させていただくことになり、そんな希望を現実のものにできるよう、活動していこうと考えています。よろしくお願いいたします!』

前号の「学問のおすすめ」は、このように締めくくりました。
この文章を書いてから、どんな活動をしていこうか?何が被害者にとって一番の支援なのか?このテーマが、頭から離れずにいました。

私は、いろいろな性暴力・性虐待の被害者をサポートする団体や、施設を調べました。時には、連絡をとって直接お話したり、イベントなどを見学をしに行ったりしました。

その中には、私たちがやろうとしていることに似通っいる団体や、サポート体制が整い1歩2歩も3歩も先を行く団体もありました。
また、ちょっと…これは支援というよりも、押しつけ??と思えるような団体もあったりと、良い面も悪い面も見られ、いろいろ勉強になりました。

また、正直、嫉妬を感じました…焦りました…。
とあるNPO法人の資金不足に改めて悔しさを感じ、また、性暴力被害から回復した女性たちが、力をつけ、学び、賢く、そして行動力のある魅力的な女性になって、協力し合って、どうどうと活動している、それを知り、自分が自由に行動できないことに苛立ちました。

そんな「私」のまま参加したサマーキャンプでした。

とあるNPO法人のメンバーのIさんとの「とあるプロジェクト番外編」として性欲求や性衝動について話しましが、自分の心の軸が揺れている最中でしたので、浮足立って話していることが自分でも判るくらいでした。

対談後、場内からの質問で
「近所の家族が性虐待にあっているようで・・・どうしたらよいか?」というような質問がありました。

心臓がバクバクしました。

まさに、とあるプロジェクトとして、発信していこうとしていることの核に近いことのひとつでした。

「間違っちゃいけない・・・。」緊張が走りました。
「私だったら・・・私だったら・・・」
何度も自分に問いかけ、短時間に頭をフル回転させました。

「タイミングが大切なのだと思います。」

けっこう、頭がクラクラした状態で言っていました。
そのあと、その理由を語ったと思うのですが、話しながらも
(とあるプロジェクトの担当として、これだけでいいのか…?)
という不安が込み上げて、支離滅裂状態あったと思います。
そのうちに、他の団体のホームページ上の素晴らしい言葉の数々が浮かんできて、つい、それが自分で考えてきた言葉かのように、それらを誇らしげに語っていました。
まるで私に与えられた権利のように・・・。

その直後です。
私にとっては、雷というか、天からのゼウスの怒りともいうか、直撃の光が落ちました。

「ちょっといいかな・・・」S先生のお言葉が続きます。

性暴力・性虐待、また、性の問題などは、とってもデリケートで、難しいということ。
正義を盾にしては絶対いけないということ。
治療者や支援者の抑制がとても大切だということ。
タイミングが大切なこと。
他者が侵入的に介入することが、いかに危険かということ。
支援や自助グループの質が重要だということ。
そして、一人の人間が「神」になってはいけないということ。

私はまた神になりそうになっていた…
4月に手首を切った時もそうでした。
私は、知らず知らずに「神」になりそうになっていた。

怖かった。恥ずかしかった。逃げたかった。

涙をこらえて聞いた。
解かっていた…
もの凄く気をつけていた…
それでも・・・欲が出ていた…
質の良くない欲が…

その後の診察で、S先生にひとことだけ、
「あの言葉、理解していました。十分理解してました。」と報告したら、「解かっていますよ。」と言ってくれた。 

また、自分に戻れる機会を得たキャンプだった。

2012.09頃(K)

***追記***

この「神」が出てくるあたりのことは、私の中のイメージでは、リュック・ベッソン監督の解釈の映画「ジャンヌ・ダルク」のワンシーンのようでした。
地下牢でのダスティ・ホフマン演じる「ジャンヌの良心」(キリスト)とされる「神」とジャンヌとのやりとりですの一場面です。

今でもこの時の感覚が忘れられません。

2020年10月(K)

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